アジア太平洋地域でのビジネスをスムーズに進めるために、導入されたのがABTC（APECビジネス・トラベル・カード）です。ABTCは、ビジネス渡航者に対して多くのメリットを提供し、ビザ手続きや入国審査の簡素化を実現します。
ABTC（APECビジネス・トラベル・カード）は、アジア太平洋経済協力（APEC）の参加国間の貿易および投資をスムーズにするためのプログラムです。できる活動は、収入や報酬を伴わない短期商用の目的に限定されます。観光目的での活動や学生など留学目的の方、事業者の配偶者と子供、有給雇用・ワーキングホリデーを希望する方は許可されていません。現在この制度に参加している国は、日本、香港を含む21の国と地域となっています。
ABTCの特徴として、カード保有者は、APEC加盟国への短期滞在においてビザ申請が不要になります。滞在期間は国ごとに異なりますが、一般的には60日〜90日の範囲で設定されています。ただし、アメリカではESTA（エスタ）、カナダではeTA（イータ）による電子渡航認証が別途必要となります。そして、 APEC加盟国の主要空港では、専用の入国審査レーンを利用でき、長い列に並ぶ必要がありません。これにより、優先的な入国審査を受けることができビジネス渡航時の時間的なストレスが軽減されます。ABTC の有効期間は通常5年間で、一度取得すればその間はビザ申請の手続きが不要になります。しかし、パスポートの有効期限満了またはパスポートを更新した場合には、ABTCも失効します。ABTCは失効すると再び新規での申請が必要となりますので注意が必要です。また、ABTCは年齢制限がないことも特徴の一つです。
ABTCを利用は、次のようなメリットがあります。まず、各国でのビザ申請が不要になることで、渡航準備が大幅に簡素化されます。国によってはビザ取得に時間がかかることがありますが、急な出張でも迅速に対応でき、ビジネスチャンスを逃すことがありません。ABTC保有者は専用レーンを使用できるため、各空港での入国審査の待ち時間が大幅に短縮されます。混雑する国際空港でも、スムーズに通過できる点はビジネスの効率を高める重要な要素でメリットと言えます。ABTCを利用することで、ビザ取得にかかる費用を削減できます。頻繁にビジネス出張をする企業にとっては、ビザ申請やそのための書類作成にかかるコストも無視できないため、メリットの一つと言えます。APEC加盟国全てに対して共通のカードを使うことができるため、国ごとに個別のビザ申請を行う必要がありません。これは、特に複数国に渡るビジネスを行う企業、ビジネスマンにとって大きなメリットです。
日本人の方がABTCを取得するための条件は、有効な日本国パスポートを所持している。申請書や提出書類に虚偽の記載がない、犯罪歴がないこと。また、外務大臣が告示で定める、「APECビジネス諮問委員会の日本委員・日本委員代理・日本委員をサポートする業務に従事する者、金額の大きさに関係なく、貿易・投資実績がある企業の経営者または当該企業に雇用されている者で、貿易などに関する事業を目的とした往来が必要であると認められる者」などの条件に当てはまる（プロスポーツ選手・報道特派員・芸能人・ミュージシャン・アーティスト・同様の職業に当たる方は対象外です。）こととされています。
ABTCを持つことで渡航手続きの煩わしさが軽減され、より重要な業務に集中できる環境が整います。頻繁な出張が要求されるビジネスマンにとっては、ABTCは効率的なビジネス活動を支援する強力な手段となります。
ABTCは、アジア太平洋地域での国際的な取引や交渉やビジネス渡航を円滑にするための重要なツールです。ビザ免除や入国審査の優先レーン利用など、時間とコストの節約に大きく寄与します。特に、頻繁にAPEC加盟国を訪れるビジネスマン、アジア太平洋地域でのビジネス展開を目指す企業にとっては、業務の効率化とコスト削減を実現できると共に渡航手続きの煩わしさが軽減され、より重要な業務に集中できる環境が整います。ビジネスの成功を支える一助として、メリットが数多くあるABTCの取得を検討してみてはいかがでしょうか。